
ほんの出来心ですが、AIで小説の「翻案」をつくってみました。
「翻案」というのは「原作の内容をもとに、時代・舞台・文体などを変えて新しい作品として作り直すこと」らしく、版権の期限切れの小説などを対象に条件付きで許されているものです。大枠では二次創作と言い換えてもいいかもしれません。
というわけで、今回は「吾輩は猫である」を題材に、AIの手助けを借りて、翻案創作をしてみました。
やったことと言えば、原文をAIに入れて、「異世界風翻案を書いて」と指示しただけです。
そして出てきたのが次のようにものです。
個人で楽しむにはすごく面白く感じました。
「吾輩は猫である」異世界的翻案版
――目が覚めたら、猫になっていた。
いや、正確には最初から猫だったらしい。
ただし、名前はまだない。
どこで生まれたのかって?
そんなこと、こっちが聞きたい。
覚えているのは、薄暗くてじめじめした場所で、必死に「ニャー、ニャー」と鳴いていたことだけだ。
そして、そこで俺は初めて遭遇した。
この世界を支配しているらしい、謎の生物――人間に。
しかも後から聞いた話によれば、そいつは「書生」と呼ばれる、人間の中でもかなり危険な種族だったらしい。
何が危険かって?
書生という連中は、ときどき俺たち猫を捕まえて、煮て食べるというのだ。
……待て待て待て。
俺の異世界猫ライフ、開始早々ハードモードすぎないか?

しかし、そのときの俺には、人間が危険な生物だという知識などなかった。
だから、そいつに捕まったからといって、別に怖いとも思わなかった。
ただ――。
書生の大きな手のひらに載せられ、そのまま、すうっと持ち上げられた瞬間。
体が宙に浮いたような、何ともいえないフワフワした感覚がした。
「な、なんだこれ……地面が消えた?」
人生初の浮遊体験である。
いや、猫生初か。
しばらくして揺れが収まると、俺は手のひらの上に座り、目の前にある書生の顔をじっと見つめた。おそらく、これが俺にとって初めてまともに観察した「人間」という生物だったのだろう。そして、そのとき感じた違和感を、俺は今でもはっきり覚えている。
まず、顔に毛がない。
おかしい。猫の常識から考えれば、顔というものは毛で覆われ、美しく飾られているはずだ。ところが、目の前の生物の顔は、驚くほどつるつるしていた。
まるで薬缶である。
その後、俺はさまざまな猫と出会った。
白猫、黒猫、三毛猫、ぶち猫。
だが、これほどまでに顔の毛が欠けた生物とは、一度も出会ったことがない。
しかも、顔の中央には妙に大きな突起物がついている。
そして、その突起物に開いた穴から、ときどき――。
「ぷう……」
煙が出た。
「煙!?」
思わず身構えた。
火を吹くのかと思ったが、どうやらそういうわけではないらしい。
それでも煙はひどくむせるし、においも妙だ。
正直、かなり迷惑だった。
後になって知ったことだが、あれは人間が「煙草」と呼んでいるものらしい。
わざわざ煙を吸い込み、鼻から吐き出す。
人間という生物は、やはり理解しがたい。
そんなことを考えながら、俺はしばらく書生の手のひらの上で、意外と快適に座っていた。
大きくて、温かくて、柔らかい。
案外、悪くない乗り物かもしれない。
――そう思ったのが間違いだった。
突然、世界がものすごい速度で動き始めた。
「うわっ!?」
書生が走っているのか。
それとも俺だけが高速移動しているのか。
何が起きているのか、まったく分からない。
景色はぐるぐる回り、目も回る。
胃の中までかき混ぜられているようだった。
「ま、待て……止まれ……!」
もちろん、俺の声はニャーニャーとしか聞こえなかっただろう。
そのうち胸が悪くなり、俺は本気で覚悟した。
――終わった。
俺の猫ライフ、ここで終了だ。
そう思った瞬間だった。
どさり。
激しい衝撃が全身を貫き、目の前に火花が散った。
そこまでは覚えている。
だが、それから先のことは、どれだけ考えても思い出せない。
次に気がついたとき、書生はいなくなっていた。
それだけではない。
あれほどたくさんいた兄弟たちも、一匹残らず消えている。
母親の姿さえなかった。
「……みんな、どこだ?」
返事はない。
しかも、そこは今までいた場所とはまるで違っていた。
とにかく明るい。
眩しすぎて、目を開けていることさえ難しい。何かがおかしい。
俺はそう思いながら、のそのそと体を動かした。
「痛っ……!」
足元に触れるものが、やたらと硬く、尖っている。
周囲を確かめて、ようやく状況を理解した。
俺は藁の上から、いきなり笹原の中へ放り捨てられていたのだ。
「……捨てられた?」
どうやら、あの書生は俺を運んでいたのではない。
捨てる場所を探していたらしい。
人間、怖い。
遅ればせながら、ようやくその事実に気づいた。
俺は笹の葉に引っかかりながら、必死になって前へ進んだ。
小さな体には、ほんの少し進むだけでも大仕事である。
ようやく笹原を抜けると、目の前に大きな池が広がっていた。
水面が風に揺れ、光を反射している。
俺は池の前に座り込み、これからどうするべきか考えた。
だが、生まれて間もない子猫に、名案など浮かぶはずもない。
「そうだ。鳴けば、あの書生が戻ってくるかもしれない」
自分を捨てた相手を頼ろうとするあたり、当時の俺はまだ純粋だった。
俺は力を込めて鳴いてみた。
「ニャー。ニャー」
誰も来ない。
もう一度鳴いた。
「ニャー! ニャー!」
やはり誰も来ない。
池の上を、さらさらと風が渡っていく。
やがて日は傾き、辺りは少しずつ暗くなっていった。
その頃になると、猛烈な空腹が襲ってきた。
腹が減った。
寒い。
心細い。
泣きたかった。
だが、何度も鳴いたせいか、もう声さえまともに出なかった。
「……仕方ない」
ここに座っていても、助けは来ない。
何でもいい。
食べ物がある場所まで、自分で行くしかない。
俺はそう決心し、池を左回りに進み始めた。
そろり。
そろり。
一歩進むたびに、体が悲鳴を上げる。
それでも止まれば、本当に死んでしまう。
俺は歯を食いしばり――猫なので実際に食いしばれていたかは分からないが――無理やり前へ這っていった。
どれほど進んだだろう。
ようやく、どこか人間のにおいがする場所へたどり着いた。
「ここに入れば……何とかなるかもしれない」
目の前には竹垣があり、その一部が壊れて穴になっていた。
俺はその隙間から、ある屋敷の中へ潜り込んだ。
今にして思えば、運命とは不思議なものである。
もし、あの竹垣が壊れていなければ。
俺はあの日、道端で空腹のまま死んでいたかもしれない。
一本の木陰にも縁がある、とはよく言ったものだ。
ちなみに、その竹垣の穴は、現在では隣家の三毛猫を訪ねるときの通路として使っている。
運命の入り口も、慣れてしまえばただの近道である。
さて。
屋敷の中へ忍び込んだのはいいが、そこからどうすればよいのかは分からなかった。
辺りはどんどん暗くなる。
腹は減る。
寒さは増す。
ついには雨まで降ってきた。
もはや一刻の猶予もない。
俺は、とにかく明るくて暖かそうな方角を目指した。
よろよろと歩き、隙間を抜け、奥へ奥へと進んでいく。
後から考えれば、その頃にはすでに家の中へ入り込んでいたらしい。
そして俺は、あの書生とは別の人間に出会うことになる。
最初に現れたのは、おさんという女だった。
だが、こいつがまたひどかった。
前の書生より、さらに乱暴だったのである。
おさんは俺の姿を見るなり、何のためらいもなく首筋をつかんだ。
「ニャッ!?」
次の瞬間。
俺の体は宙を舞っていた。
ぽいっ。そのまま外へ放り出された。
「……いや、これは駄目だ」
俺は目を閉じ、運を天に任せた。
だが、空腹と寒さだけは、どれだけ我慢しても消えてくれない。
このまま外にいれば、確実に死ぬ。
俺は再び、おさんの隙を見て台所へ這い上がった。
すると、すぐに見つかった。
再び首筋をつかまれ――。ぽいっ。
外へ投げ出された。
それでも俺は諦めなかった。
這い上がる。
投げ出される。
また這い上がる。
また投げ出される。
何度繰り返したか正確には覚えていないが、おそらく四回か五回は同じことを続けた。
子猫一匹に、そこまで本気にならなくてもよいのではないだろうか。
そのとき以来、俺はおさんという人間が心の底から嫌いになった。
もっとも、後日、おさんが大切にしていた秋刀魚を盗んで食べてやったので、今では少し胸のつかえが下りている。
復讐は、冷めないうちに食べるのが一番だ。
そして、俺がまたしてもつまみ出されそうになった、
そのとき。
家の奥から、別の人間が現れた。
「何だ、騒々しい」
この家の主人だった。
おさんは俺の首筋をつかんだまま、主人の方へぶら下げて見せた。
「この宿なしの子猫が、何度外へ出しても台所へ上がってくるので困ります」
宿なし。どうやら俺は、いつの間にかそんな称号を得ていたらしい。
主人は、鼻の下に生えた黒い毛を指でひねりながら、しばらく俺の顔を眺めた。
俺も見つめ返した。
毛の少ない顔。
鼻の下にだけ残された黒い毛。
人間の毛の配置には、どうにも納得がいかない。
やがて主人は、静かに言った。
「それなら、家に置いてやれ」
それだけ言うと、主人はさっさと奥へ戻っていった。
どうやら、あまり多くを話さない人間らしい。
おさんは、いかにも不満そうな顔をしながら、俺を台所へ放り出した。
だが、今度は外ではない。家の中だ。
暖かい。雨も当たらない。
そして、運がよければ食べ物もある。
こうして俺は、ついに決めた。
――今日から、ここを俺の家にしよう。
名前は、まだない。
立場も、まだ弱い。
けれど少なくとも、今夜を生き延びる場所だけは手に入れた。
俺の異世界猫ライフは、どうやらここから本格的に始まるらしい。
「音読さん(AI版)」による読み上げテスト
